第27回コクア会を開催しました!
寒暖の差が激しい日が続きましたが、それでも一歩一歩季節は秋へと移り変わっていくのを感じます。
午前中雨足が強くなった時間もありましたが、午後からは雨も上がり、空が明るくなってきた頃、お寺サロンは始まりました。茅ヶ崎の南湖にあるこの金剛院は、明治には町役場が置かれていたそうで、閻魔堂があり、南湖の閻魔寺とも言われていたそうです。お寺にはそういった歴史を感じる風格がありますね。
中に入ると、どこか懐かしいような心安らぐ香りが出迎えてくれました。ご住職が今日もお香を焚いてくださっていました。癒しの香り。お香には様々な効果があり、代表的なものが【心の落ち着き】でしょうか。
ざわざわと慌ただしい日々を過ごす中、お寺の本堂はしんと心静まる空間に感じられ、普段のサロンとはまた違った趣があります。
読経から始まり、ご住職が黒板を使って故人を極楽浄土へ導く引導のお話をしてくださいました。寺子屋のはじまり、はじまり。お焼香をする際に私たちは何気なくしていますが、何故三回するのか、その意味についてもお話していただきました。
人間が持っている三つの煩悩を三毒と言い、貪(とん)・・・貪り・執着、瞋(じん)…怒りの心、痴(ち)…愚痴・迷い。お焼香を三回することで、これらの三つの煩悩を祓う意味があるそうです。そんな深い意味があったなんて考えたこともありませんでした。有り難い教えをいただきました。
今日は二グループに分かれてお話をしました。新規の方のお話の中で、治療中は楽しいと感じるほど、意欲的に治療に取り組む自分がいた。治療もひと段落した今、目の前の目標もなくなり、何かをする気力もなくなってしまったように感じる。通院中は、自分だけががん患者ではないんだという安心感に包まれていたが、今はぽつんとひとり取り残されたような気持ちになる。そんなふうにお話してくださった方に「わかるわー」と共感する方もいれば、自分の経験と重ねる方もいらっしゃいました。私も入院中は全員同じ病気の病棟だったので、気持ちも和み、楽しく過ごせていたけれど、退院したとたんに、守られていた場所からいきなり放り出されたような気持ちになった。ふとした時に涙が出てきてしまったり・・・不安になって落ち込むこともあった。
立ち止まった時に、誰かひとりにでも自分の気持ちを話すことができたら、心が楽になるのではないでしょうか。
一年ぶりにお寺サロンに参加することができた方がいらっしゃいました。サロンの中では殆ど聴き役になっていた方でした。自身の病状をどこまでどう伝えたら良いか、相手がどう受け止めるかなどを考えると、なかなかご自身のことは言い出せないでいたのかもしれません。その方が自ら自分の病状、今後のことを話してくださいました。誰の力も借りずに生きようとしてきたこと。やさぐれていましたと自分を振り返り、今はたくさんの人に支えられ、自分があること。素直な気持ちで人に感謝することができること。生きることも、生きることを終えることも、どちらも苦しく辛い時間の中で、ようやく自分は新しい一歩を踏み出せたのではないかと思えること。話しながらその方の目から涙がこぼれ落ちました。「これは悲しいから泣いているんじゃないんです。嬉しくて、むしろいいほうの涙です。今ここで皆さんと一緒にいられることが、本当に嬉しいんです。」胸がいっぱいになりました。
二年前にコクア会のポスターを見て、今回初参加をしてくださった方もいらっしゃいました。見てくださって、来てくださるまでにはご自身の体調や治療の経過、タイミングがあり、どれもが良しとなった時にご縁が繋がるのかもしれませんね。
「やっと居場所を見つけられたような気がします」そう初めて参加した感想をお話してくださった方もいました。ご夫婦で参加してくださり、ご家族の立場からのお話もあり、気づかされることも多く、そんなこともサロンの中の貴重な時間になりますね。
私のいさせていただいたテーブルは思いのほか女子力が高く、《主治医LOVE》の話題で盛り上がり、皆さん辛い治療もそんな気持ちを持つことで乗り切っていかれているのだなぁと大変参考になりました。
ご住職から帰りに素敵な本をいただきました。『ワン若心境』『般ニャ心境』
早速その中からひとつご紹介させていただきます
今日もありがとう
当たり前のことに、感謝しよう
朝起きたら、まぶしい朝の光に目を細めて、ありがとう。
顔を洗う時、蛇口からあふれ出る新鮮な水に、ありがとう。
家族がおいしいコーヒーを淹れてくれたら、ああ、うれしいな、ありがとう。
色々な存在のお陰で、あなたは今日も健やかに生きています。
今この瞬間、あなたに与えられているものがどれほど豊であることか、水、光、太陽、健康、友情、愛・・・当たり前のように受け取ってきたものへ、心から感謝の気持ちを呼び起こしましょう。
小さな「ありがとう」を積み重ねていけば、いつだって幸せを感じることができるのです。
湘南がんサポート委員会 天野はるみ